2020年を塗りつぶしたトランス差別

ふと振り返ると、正月早々に千田有紀武蔵大学教授)の発言に批判が集まった(もちろん私も批判した)ことから始まって、年末にフラワーデモ茨木がトランス差別の姿勢を明らかにする(その後、フラワーデモ本体から「今後は私たちとは無関係」と切り離される)ところまで、本当にトランス差別で気がかりな大きな動きがずっと続いたな、と思う。

もちろん、日本語圏での差別が激しくなったのは2018年7月のお茶の水女子大による「トランスジェンダー女性の学生を受け入れる」表明以降なのだけど、今年に入ってから「新しいステージ」に入ったように思うのだ。もちろん、それに対する対抗言説もしっかり組み上げられられてはいるけど。

世の中は新型コロナ=COVID19感染症で大変だったし、私もある程度の影響は受けたのだけど、2020年は世界的にはCOVID19の年だったのだけど、安倍内閣の無茶苦茶、代替わりしてスガ内閣の無茶苦茶、とくに学術会議のこととか、社会は無茶苦茶だったのだけど・・・

まあ、数あるトピックの中で、トランス差別に関わる主要な事件を、いくつか簡単にピックアップしてみる。

 1月、千田有紀ツイッター発言から千田への批判がはじまる。

2月、「現代思想2020年3月臨時増刊号」に千田のエッセイが掲載され、まさにトランス差別を正当化するものであるとして幅広く批判される

8月、WAN(ウィメンズアクションネットワーク)のサイトに「石上卯乃」と名乗る人物によるトランス差別エッセイが掲載され、批判が集まる。公開質問なども出されるが、差別を擁護するような反応を見て寄稿者たちが原稿をサイトから引き上げるボイコットに至る。

同8月、共産党の地方議員がTERFアカウントに対して同調する発言。批判を受けたのか、すぐに鍵つ運用に移行したため、以後の対応は不明。

10月、笙野頼子が匿名TERFsの集まるサイトに「共産党の見解」なる文章を寄稿。トランス差別を共産党が容認するかのような内容だったため、疑問の声が沸き起こる。11月末になって共産党は「差別には与しない」との見解を発表。

12月、共産党の地方議員が海外の差別言説を引用する形でトランスフォビックなデマをツイッターに掲載。批判を受けてか、すぐに削除。

同12月、共産党から国政選挙に出馬したことのある人物が、トランスフォビックなツイートをRT、その後取消。

別の、以前からトランスフォビックだった匿名アカウントが、上記人物と同一ではないかという疑いが浮上。翌日には両方のアカウントが消滅。

同12月、フラワーデモ茨木がトランスフォビアな見解をツイート。批判と、フラワーデモ本体への疑問の声が相次ぎ、すぐにフラワーデモ本体は「私たちの見解とは違う。以後、茨木は私たちとは無関係」と表明。

年をまたいで続く問題もいろいろとあるけど、ツイッターで「今から死にます」というトランス女性に「何とか生きててほしい」と願いながら必死で声をかけ続けた昨年末に比べたら、まだマシではあるのかもしれない。

transinclusivefeminism.wordpress.com

みなさま良いお年を。