「大阪のうめ吉」さん(誰?)の指摘を受けて

先日の記事について何か色々と言っている人がいるようで。

 

「大阪のうめ吉」なるハンドルネーム、ツイッターで見かけた記憶はあるが、どういう人物なのかもわからず、それと同じ人物なのかも不明。まあでも、別に問題はない。noteサービスを使っているが、例によってweb魚拓でリンクしておく。

http://archive.today/1Oojv

以下は上記の内容を受けての私のコメントである。

 

私は共産党が「絶対善」などとは全く考えていないし、批判もしている。
ただ、トランスジェンダー差別、特に18年夏以降のバックラッシュといえるトランスジェンダー女性差別について、20年1月に開いた党大会で一歩踏み込んだ文言を綱領に盛り込んだことを「高く評価」しているにすぎない。

ただ、せっかくなのでここで言わせてもらえば「性自認」という言葉は差別主義者からのミスリーディングに繋がることもあり、使用を避けるべきだと考えている。
日本語の「性自認」は「Gender Identity」の訳語であり、「性同一性」という日本語と同じ意味だ。最近はそのままカナで「ジェンダーアイデンティティ」と書くことが多い。

共産党が特別に先進的なわけではなく、たとえば国連は2012年に国連事務総長潘基文氏・当時)の演説で「性指向と性同一性の尊重」を表明している。こういった世界の人権保障の流れを、共産党も取り入れたのだろうと解釈している。

また、9月に成立した(新)立憲民主党の綱領にも「性自認(略)によって差別されない社会を目指す」とある。

 

立憲民主党はまた、党内で「SOGIに関するプロジェクトチーム」を設置し、市民団体からヒヤリングを行うなどの取り組みを進めている。

当然ながら、野党共闘の核となる市民連合も、「ジェンダー平等」の項目の中で「LGBTsに対する差別の解消」を訴えている。

 

重大なのは、こうした「LGBTの権利保障」が「女性の権利(特に性的な自由や安全)」と対立するかのような嘘がばらまかれている現状である。

 

共産党の綱領を見ると

ジェンダー平等社会をつくる。男女の平等、同権をあらゆる分野で擁護し、保障する。女性の独立した人格を尊重し、女性の社会的、法的な地位を高める。女性の社会的進出・貢献を妨げている障害を取り除く。性的指向性自認を理由とする差別をなくす。

とある。「女性の人格を尊重し、地位を高め、社会的進出を妨げる障害を取り除く」こととあわせての「LGBTの人権保障」である。「どちらかだけ」などということはない。前述した「立憲民主党綱領」も「市民連合の制作要望書」も同じなので、ぜひ参照してほしい。

女性の権利向上なくしてLGBTの権利向上など実現しようがないのである。共産党に対するものであれ、他の団体なり個人に対するものであれ、トランスジェンダーの権利保障を「女性の権利と対立する」ものであるかのように描くのは完全なるデマであり、差別を正当化するためのレトリックにすぎない。

トランス差別については、この本の第二章がとても参考になる。

 

「大阪のうめ吉」氏は記事のなかでこう書いている。

>トランス女性はあくまでもトランス女性であり、指摘されているように女性ではありません

これは重大な差別であり、ヘイトスピーチであると指摘しておく。トランスジェンダーではない女性を指す「シス(ジェンダー)女性」という呼称を拒否し、シス女性を単に「女性」と呼んでトランス女性を他者化するのは、典型的な差別の一形態である。

冒頭にリンクした「記録用」という記事の中で私が「差別だ」と指摘している「ひじりんぬ」という人の発言について、もし「差別ではない」と感じるのなら、あなたは既に差別主義に染まっている。学んで、差別主義の沼から脱出する努力をしてほしい。

「大阪のうめ吉」氏は記事の中で共産党の他に日本学術会議LGBT法連合会を敵視しているが、私のこの記事を読んだ後はそれに立憲民主党市民連合・国連を加えなければならないだろう。いや、それだけでなく、今や先進的な各国の政府、いずれは日本政府も君たちの敵になるだろう。

差別主義者の居場所など、この世のどこにもなくなればいい。